RSウイルスは、咳・鼻汁などの呼吸器症状を引き起こすウイルスです。
一般的には、冬期を中心に流行が認められますが、ウイルスそのものは一年中認められるようです。
国立感染症研究所や東京都の報告では、8月中旬からRSウイルス患者数の増加傾向が認められいて、流行に対しての注意が呼びかけられています。
RSウイルスは、成人を含めたすべての年齢に繰り返し感染を起こします。
年長児(小学生以上)では、一般に上気道症状(鼻汁と軽度の咳)のみのことが多いですが、乳幼児(2歳未満)では、咳き込みや鼻汁症状が強く認めます。
咳き込みや鼻汁・呼吸困難が強い場合、細気管支炎等の重い病態になっていることもあり、入院での治療が必要となることもあります。
RSウイルスに対する特異的な治療薬(抗ウイルス薬など)は、現在のところ存在しません。
咳き込みなどに対しての対症療法が主体となります。
具体的には、去痰剤や気管支拡張剤が使用されます。
抗生剤は一般に無効ですが、気道の過敏状態抑制や排痰を促すために、マクロライド系抗生剤の投与が行われることもあります。
また、喘鳴や呼吸困難(陥没呼吸など)など症状が出ている場合には、ステロイドや気管支ぜんそくに使用する薬を併用することもあります。
残念ながら、現在、RSウイルスに対するワクチンはありません。
ハイリスクと判断されるお子さん(早産児や先天性心疾患のお子さん)には、ヒト化モノクロナール抗体(シナジズ®)の
注射(通常9月~4月期;月一回筋肉注射)を行い、症状の軽症化に努めます。
感染は、咳・くしゃみなどに伴う飛沫感染でおこります。
大人や年長児から乳児へ感染することが多く、家族内での感染も多く認められます。
基本は、症状が重篤になりやすい乳幼児にRSウイルスを感染させないことです。
家庭内にウイルスを持ち込むのは、大人や年長児であることが大半です。
症状が出始めた人はマスクをする・乳幼児との接触を避ける・・・など、早めの対策が大切です。
西巣鴨こどもクリニック |