乳幼児の場合、口や鼻から気管までの距離が短い、食事や飲水が上手にできない(未熟性)、呼吸をする筋肉や構造の問題から自分自身で痰を出す力が少ないなど、様々な理由から年長児や成人と異なった理由で咳漱が起こることがあります。
主な原因としては以下のものが挙げられます。
①誤嚥・気道異物
乳児では哺乳の時に多く認めます。
また、乳児期後半から幼児期にかけては、食べ物やおもちゃなどによる気道異物も考えられます。ピーナッツなどの豆類や、ビーズなどが主な原因物質として挙げられます。
②感染症
咳の原因として最も多く認められます。
乳児期ではRSウイルスやライノウイルス、メタニューモウイルスなどのウイルスが原因として多く認められますが、激しく強い咳漱が長引く場合には、百日咳も考えられます。
一方、幼児期以降では、マイコプラズマや肺炎クラミジアなどの感染が多くなります。
③アレルギー性鼻炎・気管支喘息など
乳児後期から幼児期にかけて多く認められます。アレルギー鼻炎の場合には、後鼻漏(鼻の奥から喉に鼻汁が垂れ込むこと)により、痰の絡んだ咳漱が生じます。気管支喘息は、ダニやハウスダストなどのアレルゲンが主な原因ですが、タバコの煙や花火・激しく泣いたり激しい運動で呼吸が速くなったりすることでも発作を誘発することがあります。
咳がいつから・どのような状況で起こり始めたか・どのようなタイプ(痰が絡むのか?睡眠時には咳は治まるのか?など)なのかによって咳の原因を推測し、治療を行います。
ですので、診察の時には、咳の起こったときの状態や咳の性状を比較的詳しくお聞きさせていただくことがあります。
咳そのものは、喉や気管を含めた気道内(息の通り道)にある障害物や刺激物質(多くは痰や鼻汁などの分泌物ですが)を気道の外に排泄するために起こる生体の防御反応ですから、強力な鎮咳薬(咳止め)を使用することは控えることが多いです。
また、痰の絡む咳き込み(湿性咳漱)を強く認める場合には、鼻水止めの薬(抗ヒスタミン薬など)は痰の粘性を高めて排泄を困難にするため、使用を控えます。
治療は主に原因と症状に応じた形で行われますが、一般には、去痰剤や気管支拡張剤の使用がおおくなされます。
また、喘息など気道過敏性が高いと考えられる場合には、吸入ステロイドやロイコトリエン受容体拮抗薬など、特異的な治療がなされます。
咳が一時的に軽減したように見えても、気道での炎症は持続(遷延)している可能性もあるため、安定した状態がきちんと維持できるまで治療の継続が必要となります。
その他、ご不明な点がございましたら、ご遠慮なくクリニックまでお電話ください。
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